群馬県 高崎市 小児科 小児神経科
小泉小児科医院

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予防接種

予防接種

予防接種について、受けたほうがよいのか、何から受けたらよいのか、何か副反応が出たらどうしようかな、などいろいろ不安をもたれているお母さんも多いと思われます。

予防接種は、伝染病が脅威であった時代には集団接種によって大多数に免疫を与え、それにより伝染病の流行を阻止しようとする集団接種の意義が大きかったのですが、最近では被接種者個人のニーズにしたがって各個人にもメリットがあり、また社会にも役立つ個別接種に変わりつつあります。

予防接種法の改正に伴って今まで熱性けいれんがあると、1年以内は予防接種ができませんでしたが、主治医の判断と両親の納得のもとに最終けいれん発作後、1~2カ月を過ぎれば接種可能になっています。

予防接種のスケジュール作成、確認も行っております。お気軽にご相談ください。

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予防接種の種類

生ワクチンと不活化ワクチン

生ワクチン 生きた細菌やウイルスの毒性を弱めたもので、その接種により、毒性を弱められたウイルスや細菌が体内で増殖し、その病気にかかった場合と同じような抵抗力(免疫)ができます。
種類 経口生ワクチン:ロタウイルスワクチン
注射生ワクチン:BCG、麻しん・風疹、おたふくかぜ、水痘
不活化ワクチン 細菌やウイルスを殺して毒性をなくし、抵抗力(免疫)をつけるのに必要な部分を取り出して作られたもので、接種後に体内で増殖することはありません。十分な抵抗力をつけるために、複数回の接種が必要です。
種類 Hib、小児用13価肺炎球菌、4種混合、B型肝炎、日本脳炎、インフルエンザ、子宮頸がん、A型肝炎など

≪接種間隔について≫
これまで、ワクチン同士の干渉を避けるためとして、不活化ワクチン接種後は1週間、生ワクチン接種後は4週間の間隔をあける必要がありましたが、2020年10月から下記に変更となります。

  • 注射生ワクチン同士は4週間以上あける(経口生ワクチン後の接種間隔の制限はなし)
  • そのほかは、接種間隔の制限なし

(ただし、同じ種類のワクチン同士の接種間隔は、これまでどおりあける必要があります)


「予防接種の接種間隔に関する検討」(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/10906000/000588558.pdf)を加工して作成

定期接種と任意接種

定期接種 予防接種法で定められた予防接種で、一定の年齢になったら、受けるよう努めなければならないことになっています。住民票がある市町村の医療機関で受ける場合は、接種費用は無料です。(群馬県内では相互乗り入れの契約が結ばれているので、予診票をお持ちいただければ市外の方も窓口負担無料で接種可能です。里帰り中など、県外の方が当院で接種を希望される場合は、お住まいの市町村に申請が必要になりますので、お問い合わせ下さい。)
《定期接種のワクチン》 ロタウイルス
B型肝炎
Hib感染症
13価肺炎球菌感染症
4種混合(ジフテリア、百日咳、破傷風、不活化ポリオ)
BCG(結核)
麻疹・風疹
水痘
日本脳炎
2種混合(ジフテリア、破傷風)
ヒトパピローマウイルス(HPV)感染症
任意接種 予防接種法で定められていないもので、保護者または本人の希望で受けるものです。接種費用は自己負担となります。(一部助成があるものもあります)
《任意接種のワクチン》 おたふく
インフルエンザ
A型肝炎
(海外渡航前にA型肝炎ワクチン接種をご希望の方は、事前にお問い合わせください。3回の接種を完了するには半年程度かかりますので、早めに予定をたてる必要があります。)
定期接種対象疾患で対象年齢の枠外に行うもの

それぞれの予防接種について

ジフテリア

(4種混合、2種混合ワクチンに含まれる)

潜伏期 2~7日
症状 菌に侵される部位により、鼻ジフテリア、咽頭ジフテリア、喉頭ジフテリア、皮膚ジフテリアなどに分類されます。主に気道粘膜に偽膜を形成し、無理にはがすと出血します。 咽頭痛、発熱、嗄声(かすれ声)、咳(犬吠様咳嗽)、重症例では、呼吸困難、けいれん、昏睡から死亡に至ることもあります。
治療 毒素を抗毒素によって中和する抗毒素療法と、抗菌薬療法を併用します。
予防 標準的には、0歳のうちに3回、その後6カ月以上あけた時期(1歳以降)に1回接種します。
また、2期の接種として、11-12歳で1回接種します。(年齢が大きくなると、ジフテリアトキソイドによるアレルギー反応が強く出やすいので、2期のDTワクチンの接種量は0.1mlと少量に設定されています)

百日咳

(4種混合ワクチンに含まれる)←2種混合ワクチンには含まれていません

潜伏期 5~21日
症状 夜間を中心に強い咳がみられます。
速くて頻回な咳発作(Staccato)をくりかえし(Reprise)、咳の終わりに特徴的な高音を伴った長い息の吸い込み(Whoop)がみられることがあります。
ただし、6カ月未満の乳児では息を吸い込む力が弱いため、咳発作があってもWhoopを伴わないことがあり、特に2カ月未満の子では無呼吸として命に関わることがあります。
激しい咳により、咳き込み嘔吐、まぶたの浮腫、顔の紅潮がみられることがあります。
治療 抗菌薬を使用します。
予防 標準的には、0歳のうちに3回、その後6カ月以上あけた時期(1歳以降)に1回接種します。

破傷風

(4種混合、2種混合ワクチンに含まれる)

潜伏期 外傷を受けてから4~14日
症状 破傷風菌が傷口などから体内に入り込み、増殖した菌から作られる破傷風毒素が原因となって筋肉のこわばり(口が開けにくいなど)、全身けいれんなどが引き起こされます。特に光や音など軽度の刺激によってもけいれんが誘発され、呼吸に関係した筋肉のけいれんによって窒息する危険性もあります。また、破傷風毒素が自律神経系にも作用して急激な血圧や脈拍の変化を引き起こすこともあります。
治療 傷口の処置を行うとともに、抗破傷風ヒト免疫グロブリン、抗菌薬を使用します。
予防 標準的には、0歳のうちに3回、その後6カ月以上あけた時期(1歳以降)に1回接種します。
また、2期の接種として、11-12歳で1回接種します。

不活化ポリオ

(4種混合ワクチンに含まれる)

潜伏期 7~14日
症状 感染者の90%以上は無症状の不顕性感染で終わるとされていますが、1%以下で、発熱、背部痛、項部硬直(首を前に曲げようとすると痛みで曲げられない)などの髄膜炎症状が出現し、数日以内に手足に力が入らなくなって動かないなどの弛緩性麻痺の状態となります。麻痺は、手足以外の筋肉にも現れ、生涯にわたって残ります。
治療 有効な治療法はありません。
予防 標準的には、0歳のうちに3回、その後6カ月以上あけた時期(1歳以降)に1回接種します。

肺炎球菌

目的 侵襲性肺炎球菌感染症(=本来は無菌のはずの部位で肺炎球菌の感染が起きること、具体的には、脳を包む髄膜や髄液に炎症が起こる髄膜炎、通常は菌が増えないはずの血液中で菌がみつかる菌血症、菌血症を伴う肺炎)の予防を目的にワクチンを接種します。 肺炎球菌は、血清型により約90種類に分類され、7価ワクチンから開始となり、現在は13価のワクチン接種となっていますが、7価のワクチン公費助成開始前後で比較すると、髄膜炎は71%、非髄膜炎は52%の減少がみられ、ワクチン接種の作用がみられています。(厚生労働省班研究の報告より)
治療 抗菌薬を使用します。(ただし、特に髄膜炎では重篤な後遺症が生じることがあります。)
予防 標準的には、0歳のうちに3回、その後60日以上あけた時期(通常はヒブワクチンと同時に接種するので7カ月以上あけた時期で1歳以降)に、1回接種します。

インフルエンザ菌

目的 侵襲性インフルエンザ菌感染症(=本来は無菌のはずの部位で肺炎球菌の感染が起きること、具体的には、脳を包む髄膜や髄液に炎症が起こる髄膜炎、通常は菌が増えないはずの血液中で菌がみつかる菌血症、菌血症を伴う肺炎)の予防を目的にワクチンを接種します。
髄膜炎は92%、非髄膜炎は82%の減少がみられ、ワクチン接種の作用がみられています。(厚生労働省班研究の報告より)
このほか、インフルエンザ菌は急激に呼吸困難となりうる「喉頭蓋炎」の原因としても知られており、その予防にも有効とされています。
治療 抗菌薬を使用します。(ただし、特に髄膜炎では重篤な後遺症が生じることがあります。)
予防 標準的には、0歳のうちに3回、その後7カ月以上あけた時期(1歳以降)に1回接種します。

BCG

目的 BCGワクチンはウシ型結核菌を13年間、230代継代培養した結果、弱毒化に成功し、開発されました。
乳幼児に対し、結核菌による髄膜炎や粟粒結核(結核菌が血液の流れに乗って全身にばらまかれ、体の複数の臓器に結核の病巣が作られる)などの、重症播種性結核を予防する目的でワクチンを接種します。BCGワクチンを接種すると、その作用は10~15年続くとされています。

定期接種の期間は、1歳未満です。
接種方法 9本の針がついた管針という器具を使いますが、アルコール綿で接種部分を消毒し、BCGを溶かした液体を腕に塗りのばした後で、2回、強く腕に押し付けます。液体が乾くまでご家族の方に腕を保持していただいて、終了です。(乾くまで約10分程度)

通常は接種から2~4週間後頃に、針で刺した部分が膿疱状(うみのような形)になり、その後、かさぶた状になっておさまっていきますが、その反応が10日以内(早い方では3日以内)に出現した場合、コッホ現象と呼ばれ、結核に感染している可能性があります。その場合は速やかに受診してください。

B型肝炎

潜伏期 平均3カ月
感染経路 母子感染(分娩時に産道で血液を介して感染)、
水平感染(血液だけでなく、唾液や涙や汗などからも感染する可能性があります)
B型肝炎ウイルスに感染すると、①急性肝炎、②不顕性感染、③キャリア、④慢性肝炎の4通りの経過が考えられます。
①は急激に肝臓に炎症が起きて黄疸などがみられますが、数カ月以内におさまるもので、
②は明らかな自覚症状がみられないまま炎症がおさまるものです。ただし、最近の研究では、おさまったようにみえても肝臓内にB型肝炎ウイルスが存在し続けることがわかってきました。
③は感染した後、ウイルスを異物と認識できず排除できずに体内に保有した状態で、
④は肝臓で炎症が続いて、6カ月以上肝機能に異常がみられる状態です。キャリアのままで生涯を終える方もいますが、キャリアから慢性肝炎を発症すると、肝硬変、肝がんと進展する危険があります。
なお、乳幼児は免疫機能が未熟なため、B型肝炎に感染した場合、ウイルスを排除できずにキャリアになりやすいと言われています。
現在、母子感染予防のためのガイドラインが設けられており、HBs抗原陽性の母親から出生した子にはHBグロブリン、HBVワクチン接種を行うことになっています。
予防 標準的には、1回目の接種から1カ月あけた時期に2回目、2回目から5カ月程度あけた時期に3回目(最短では1回目から20週経過していれば可)を接種します。

(定期接種では、1歳未満に3回目接種まで完了する必要があります)

ロタ

潜伏期 2日程度
症状 おう吐、下痢、発熱などの胃腸炎症状がみられ、乳幼児では脱水となり入院を要することもあります。その他、腸重積、けいれん、脳症などを合併することがあります。ウイルスは感染者の糞便やおう吐物中に多く含まれ、手などを介して口から摂取することで感染します。感染力のある期間は下痢発症2日前から発症後10日間程度とされていますが、重度の下痢例では糞便中に1~2カ月ウイルスが存在するといわれています。
予防 経口生ワクチンが有効です。1価のワクチンは生後24週までに2回、5価のワクチンは生後32週までに3回接種します。ただし、初回の接種が遅い場合には腸重積のリスクが上がる可能性があるため、1回目は生後15週未満(14週6日まで)に行う必要があります。(腸重積の発症が多いのは、1回目の接種から7日以内が多いとされています)
ワクチンのその他の副作用としては、不機嫌、下痢などが知られていますが、不機嫌さは接種当日、下痢などは接種から2日目以降の出現が多いようです。

ワクチン接種(内服)した後、お薬を吐いてしまわないように、授乳は接種から30分以上あけてからの開始をお願いしています。

なお、2020年8月生まれのお子さんから、ロタウイルスワクチンが定期接種となりました。(2020年10月~接種開始)
2020年10月からの変更点として、吐いてしまった場合も、再投与は不要となります。(飲みなおしができなくなります)
また、接種間隔についても変更がありますので、接種間隔について、のページもご参照くださいませ。

麻しん

(MRワクチンに含まれる)

原因 麻疹ウイルス
潜伏期 10~12日間(麻疹との接触がはっきりしていれば、それから10日後に症状が出ると言うことです。)
症状 発熱、咳嗽、眼脂、鼻汁が3~4日間続いた後(カタル期)に、口の中にコプリック斑という麻疹特有の発疹が出ます。
その翌日よりもう1℃ぐらい高熱となり、発疹が出現します(発疹期)。
その発疹は全身に広がり正常の皮膚の部分のほうが少ないぐらいになります。そして赤かった発疹が暗紫色となり、熱が下がります(回復期)。
約一週間発熱が続き、子供にとってとても重たい病気です。
カタル期に麻疹と診断することは困難で、最初はかぜと診断されていることが多いです。
肺炎中耳炎などを合併することも多く、麻疹にかかった人の2000~3000人に1人の割合で脳炎になります。
また、特に合併症がなくても食事がとれずに入院になることも多い病気です。
治療 熱やかぜ症状に対するものが中心です。水分を十分与えることが重要です。
予防 定期接種としては、1歳のお誕生日を迎えたらすぐに1回接種し、2回目は年長さんの年に接種します。

風疹

(MRワクチンに含まれる)

原因 風疹ウイルス
潜伏期 14~21日間
症状 発疹、発熱(小児ではあまり高くならない)、後頚部リンパ節腫脹が出現し、3日間でなおります。
風疹にかかった人の3000人に1人の割合で血小板減少性紫斑病が、6000人に1人の割合で脳炎がみられます。
また、妊婦が妊娠初期に風疹にかかると、生まれてくる子供に眼、耳、心臓に障害をきたすことがあります。このようにして障害を持った子供を先天性風疹症候群といいます。
治療 小児では、無治療で治癒することがほとんどです。
予防 定期接種としては、1歳のお誕生日を迎えたらすぐに1回接種し、2回目は年長さんの年に接種します。

妊娠を希望される女性の方、ご家族の方への接種も行っています。
その場合は、女性の方には接種後2カ月は避妊をお願いしております。

(高崎市に住民登録がある方で、妊娠を希望する女性の方(またはその配偶者)で、風疹の抗体検査も風疹ワクチンも受けたことがなく、風疹にかかったこともない方には、風疹の抗体検査を実施する際に高崎市から助成を受けられます。詳しくは高崎市保健所の保健予防課にお問い合わせください)

2019年4月から、風疹の5期 定期接種が始まりました。
昭和37年4月2日から昭和54年4月1日までの間に生まれた男性は、風疹の抗体検査を受けた上で、抗体価が低かった場合には、定期接種の対象となります。

みずぼうそう(水痘)

原因 水痘・帯状疱疹ウイルス
潜伏期 14~21日間
症状 発熱、発疹(水疱疹)が、主症状です。発熱、発疹の程度は個人によってかなり差があります。
また、このウイルスは病気がなおった後に、神経に潜伏します。そして、免疫力が低下したときに、帯状疱疹として再び症状を出します。
治療 現在、水痘に有効な飲み薬があります。どの子がひどくなるのか予測できないので、本院では水痘と診断した子どもにすべて処方しています。特に、アトピー性皮膚炎の子は、ひどくなる可能性が高いので飲み薬を飲んだほうが良いでしょう。

お風呂はどうするの?
熱がなく、食欲もあれば、入ってもかまいません。体の汚れは落としたほうが良いですが、水疱部分をゴシゴシ洗わないようにしましょう。
予防 1歳のお誕生日を過ぎたら1回目の接種が可能で、3カ月以上(標準的には6カ月)あけた時期に2回目の接種となります。(定期接種として接種できるのは、3歳未満までとなります)

まだ水痘にかかっていない方が、水痘の患者さんと接触した場合、72時間以内にワクチンを接種すれば、発病しないか、発病しても軽症化できます。

ワクチン接種時期までに、既に水痘にかかった方は、ワクチンの接種は必要ありません。(ご心配でしたら、抗体検査で免疫の有無を確認することもできます)

おたふくかぜ

原因 おたふくかぜウイルス
潜伏期 14~21日
症状 発熱と両側または一側の耳下腺腫脹で、顎下腺、舌下腺の腫脹を伴うこともあります。一週間ぐらいで腫脹は消失します。
(似たような症状が出現する病気として、反復性耳下腺炎というものがありますが、こちらは2-3日以内に腫れが引けてきます。)
治療 痛みに対するものが中心です。内服薬、湿布を使用します。
合併症 おたふくかぜは髄膜炎を合併しやすい病気です。嘔吐があるようなら早めに再診しましょう。
また、難聴の原因となることもあります。片側性が多いですが、生涯続く難聴となることが多いので、注意が必要です。
予防 任意接種のワクチンですが、難聴、精巣炎のリスクを考え、接種をお勧めしております。
1歳のお誕生日を過ぎたら1回目の接種が可能で、2回目を希望される場合は、半年以上あけての接種をお勧めしています。

日本脳炎

潜伏期 5~16日間(蚊に刺された際に体内に侵入した後、近くの組織またはリンパ節で増殖した後、血流にのって脳に移行します)
症状 突然の高熱、頭痛、腹痛、下痢などがみられ、その後、おう吐、項部硬直(仰向けに寝た状態で頭を前屈させようとすると、首の後ろに強い痛みが生じて前屈できない)、意識障害、けいれんなどがみられます。重症例では昏睡に陥って、5~7日程度で死亡することがあります。重症でなければ7~8日で解熱傾向となり、14日目頃までに意識は戻ることが多いようです。上記のような重篤な症状に至らず、夏風邪のような症状で終わることもあります。
なお、日本脳炎ワクチンの接種後にADEMという神経疾患が発生した報告があり、ADEMの直接の原因であることを証明する報告はないものの重症例もみられたということで、平成17年度から平成21年度まで、接種はおすすめしない(勧奨接種の差し控え)ことになっていました。しかし、新しいワクチンが開発され(以前のワクチンは、製造の際に幼若マウス脳を使用していましたが、現在のワクチンは、Vero細胞というサル腎由来細胞を用いています)、現在は再び勧奨接種となっています。
治療 特異的な抗ウイルス薬はないため、対症療法になります。
予防 標準的には、3歳のうちに1カ月程度の間隔で2回、その1年後に1回接種し、9歳になったらもう1回接種して完了となります。
(定期接種としては、生後6カ月以降から接種は可能です)

インフルエンザウイルス

潜伏期 1~3日
症状 突然の高熱、咽頭痛、頭痛、筋肉痛、倦怠感などで始まり、2~4日間発熱が続き、その後、鼻水・咳などの呼吸器症状が目立ってきます。腹痛などの消化器症状を伴うこともあります。乳幼児期には、経過中にいったん解熱傾向となった後、1日程度おいて再度高熱を認める二峰性発熱がみられることがあります。また、熱性けいれんや脳症を引き起こすこともあります。
治療 抗ウイルス薬の内服、または吸入、または点滴を使用します。
予防 13歳以上では1回、13歳未満では約4週間あけて2回、ワクチンの接種を行います。
平成26年度までのインフルエンザワクチンには、A型2種(いわゆる新型 H1N1と、A香港型 H3N2)と、B型1種(山形系統またはビクトリア系統のいずれか)の抗原が含まれていましたが(3価のワクチン)、平成27年度のワクチンから、A型2種(いわゆる新型 H1N1と、A香港型 H3N2)、B型2種(山形系統とビクトリア系統の両方)の抗原が含まれることになりました(4価のワクチン)。

(参考文献:1)小児感染症学 改訂第2版 岡部信彦 編集、2)侵襲性肺炎球菌感染症とワクチンによる予防,モダンメディア 59巻11号2013、3)国立感染症研究所 病原微生物検出情報月報(IASR) 2014年1月7日掲載分 侵襲性肺炎球菌感染症・侵襲性インフルエンザ菌感染症の発生動向)

HPV(ヒトパピローマウイルス)

感染経路 HPVウイルスは、子宮頸がんの他、肛門がん、陰茎がん、中咽頭がんなども引き起こすウイルスです。
主に性交渉の時にうつりますが、性器の挿入の有無は関係なく、性器の皮膚同士の接触でもうつります。
感染後の経過 潜伏期間は3週間~8か月ほどといわれていますが、感染しただけでは特に症状はなく、70%が2年以内に、90%が2年以内に、免疫力により自然に排除されます。
ただし、ウイルスが自然に排除されず、数年から数十年にわたって持続的に感染した場合にがんになるおそれがあります。
ほとんどすべての子宮頸がんが、高リスク型HPVによって引き起こされており、子宮頸がんの発症のピークは以前は40-50台でしたが、最近は若い世代が多くなり、ピークは30台後半と言われています。
予防 初めての性交渉前に予防接種を行うことが最も効果的とされています。
定期接種としては、令和5年4月現在、小学校6年生~高校1年生の女子が対象です。(※現在はキャッチアップ接種も可能。詳細は後述。)
令和5年4月から9価のワクチンが承認され、15歳未満で接種開始した場合には5か月以上あけて2回の接種が必要で、15歳以上で接種開始した場合には、1回目から2か月後と6か月後の合計3回の接種が必要です。

なお、2価や4価のワクチンをすでに開始済みで、まだ完了していない方は、途中から9価のワクチンに切り替えることも可能ですが、合計で3回の接種が必要です。
また、ワクチンもすべてのウイルスの型を網羅できているわけではありませんので、定期的な子宮頸がん検診が重要です。

なお、前述のとおり、小学校6年生の4月~高校1年生の3月までが対象期間ですが、行政からの積極的な勧奨が差し控えられていた時期があるため、猶予が設けられ、平成9年4月2日~平成18年4月1日までに生まれた方は、令和7年3月31日までは「定期接種」として接種が可能です(キャッチアップ接種)。
また、平成18年4月2日~平成20年4月1日までに生まれた方(現時点で通常の定期接種が可能な年齢)にも猶予が設けられ、通常の接種対象年齢を超えても、合計3回の接種が終わっていなければ、令和7年3月31日までは「定期接種」として接種が可能です。(キャッチアップ接種)

おたふくかぜワクチンの一部助成について(高崎市在住の方)

高崎市在住の方は、おたふくかぜワクチンに一部助成があります。
(高崎市外にお住まいの方は、各市町村にお問い合わせください)

対象者 1歳以上5歳未満まで(5歳の誕生日の前日まで)
1回のみ3,000円の助成
接種回数 2回接種をおすすめしていますが、助成はそのうち1回のみで3,000円となります。
(ワクチンの1回接種で、抗体が陽性となる率は90%程度といわれています)

おたふくかぜは、両側あるいは片側の唾液腺(耳下腺が多い)の腫れと痛み、発熱が主な症状ですが、難聴、精巣炎・卵巣炎、無菌性髄膜炎などを合併することがあります。
特に難聴は、片側のことが多いものの、重度で改善しないことが多いと言われています。

上記のような状態を予防したり、少しでも症状を軽くしたりできますように、
当院では接種をおすすめしています。

何か気になられる点がありましたら、お気軽にお電話でお問い合わせください。