群馬県 高崎市 小児科 小児神経科
小泉小児科医院

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解熱剤について その1

発熱と解熱剤について
≪その1≫発熱の目的としくみについて
≪その2≫解熱剤のしくみとメリットについて
今回は全体のお話が長くなってしまうので、二つに分けて書かせていただきます。

発熱と解熱剤について
~その1 発熱の目的としくみについて~

◆発熱の目的◆

①体温が上がることによって、白血球が病原体を攻撃する機能が高まる
②温度が高いと微生物の増殖が抑制される
 その結果、感染防御につながるから、と考えられています。

白血球が病原体を攻撃する機能というのは、具体的には、

●走化能=白血球が細菌などの方に向かって移動していく
●貪食能=白血球が細菌を食べる、

 などがあります

◆熱が上がるしくみ◆

①体の中にウイルスが侵入する
②免疫に関係する細胞が活性化して、発熱サイトカインが出される
③それにより、プロスタグランジンE2という物質の産生が増える
④それにより、脳の視床下部の体温調節中枢の設定体温が上げられる
⑤それにより、全身のしくみが熱を上げる方向に働き始める

 という流れによります

つまり、ウイルスなどの病原体が体に侵入すると、免疫システムが作動して、
脳の視床下部から体温を上げる指令が出される
、ということです。

(細かいところなのですが、このプロスタグランジンE2というのは、
後で解熱剤のしくみのところでも登場しますので、なんとなく覚えていてくださいませ。)

それを受けて、全身のしくみが熱を上げる方向に進み始めますが、具体的には、

①手足など末梢の血管を収縮させて、血流を体の奥の臓器に集めることで、皮膚表面から熱が逃げにくいようにする
②筋肉を収縮させて熱産生が行われるようにふるえが出現する
③設定温度と実際の体温との差から、大脳皮質を介して、布団にもぐったり衣服をより多く着たりする行動につながる

 などがあります。

なお、上記の流れの中で、血管の収縮、拡張によって頭痛が出現したり、
プロスタグランジンE2の産生増加によって筋肉痛や関節痛が出現したりします。

インフルエンザ、夏風邪などによる高熱は本当につらいと思いますが、
体の免疫反応から起きている症状で、体ががんばっている証拠だと思うと、
つらさも多少は緩和されますでしょうか・・・。(その2へ続く)