群馬県 高崎市 小児科 小児神経科
小泉小児科医院

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解熱剤について その2

発熱と解熱剤について
~その2 解熱剤のしくみとメリットについて~

 
解熱剤として小児で使われるものは、基本的にアセトアミノフェンとなります。
これは、アスピリンなどのNSAIDと呼ばれるお薬が、
インフルエンザ、水痘などの際にライ症候群という重篤な状態を引き起こす可能性があるため、
小児では使わないことになっているためです。
(小児でもイブプロフェンは投与可能とされています)
そこで、ここではアセトアミノフェンについて記載させていただきます。
 
◆アセトアミノフェンが効くしくみ◆
アセトアミノフェンが作用を発揮する場所は、主に中枢、つまり「脳」とされています。
脳でプロスタグランジンE2の産生を阻害し、視床下部の体温調節中枢の設定温度を下げ、
全身のしくみを、体温を下げる方向に向かわせます。

熱が上がるしくみのところで登場した、プロスタグランジンE2が増えないようにすることで、
熱を下げようというお薬
です。

なお、アセトアミノフェンには鎮痛作用もありますが、これも「脳」での作用が中心なので、
末梢での炎症が主体の「関節リウマチ」などには効きにくいとされています。

つまり、脳での作用により、解熱作用、鎮痛作用はありますが、
末梢での炎症を抑える作用は少ないということです。
一方で、末梢での作用が弱いので、胃腸障害や腎障害が起こるリスクは少なくなります。
 
 
◆解熱剤のメリット◆
解熱剤の目的は、体の負担を減らすことです

発熱は感染防御に有効、と考えると、解熱剤は使用しない方がいいのではないか、
というご意見が出るかと思います。
確かに、可能であれば熱は下げない方が防御システムの働きは良いと思います。
しかし一方で、体温を上げようと体が頑張っている時には、
酸素やエネルギーの消費量は上がってしまうので、
それが続けば体は疲れてしまいます。

高熱のために食事や睡眠も十分にとれない状態が続けば、
脱水、低血糖の恐れもあります。
また、40度以上の発熱時には、そもそも白血球の機能も低下するという報告もあります。
結局は全体のバランスを考え、
熱が高くても元気があれば使用せず、つらくなってきたら使用する
という使い方をお勧めしたいと思います。
 
◆アセトアミノフェンの効き方◆
投与後30分以内に少しずつ体温が下降し始め、
2時間後ごろに作用は大きくなり、4時間後ころまで作用が持続します。

なお、平熱時にはほとんど体温に影響を及ぼさないとされているので、
平熱時に鎮痛剤として使用することも可能です。